昭和の空気が漂う純愛。傷を抱えた夫婦が寄り添い生きる温かな日常
戦後の昭和を舞台に、それぞれに傷や欠損を抱えた夫婦・篤継と宵余が織りなす、心温まる日常を描いた大ボリュームの124ページ。前作の重厚な雰囲気から一転、本作では二人の穏やかで愛情に満ちた生活風景がたっぷりと描写されており、そのギャップがたまらない。不器用ながらも互いを深く慈しみ、支え合う夫婦の姿は、読む者の心をじんわりと温めてくれる。時代背景の丁寧な描写と、ほのぼのとした空気感の中で育まれる絶対的な絆に、深い感動を覚える文学的な香りのする良作だ。