七十歳の元音楽教師が堕ちる退廃の絶頂。五十年の時を超え交わる肉体
長い年月を経て再会したかつての恋人同士が、老いゆく肉体を通して再び濃密な関係へと堕ちていく、どこまでも退廃的で美しい官能小説。七十歳を迎えた主人公・雅子が、古書店の密室という外界から遮断された空間で、長年封印していた「女」の悦びを呼び覚まされていく描写が秀逸だ。五十年前の若かりし頃の情熱と、現在の成熟しきった肉体の渇きが入り交じり、男の強固な支配によって貞節が剥ぎ取られていく背徳感。熟女やシニア世代の深みのあるエロスを好む読者にとって、心に深く刻まれる傑作だろう。